はじめてのフリー・インプロ(即興)セッション、どこに行けばいい?

「フリー・インプロのセッション、行ってみたい!……でも、たくさんありすぎて、どう選んだらいいの?」
「はじめてのセッション、なにか気をつけたほうがいいことってある?

という方向けに、自分に合ったフリー・インプロ(即興演奏)セッションを探すコツを書き出してみました。

とはいえ結局、実際に足を運んで、見学してみるのが手っ取り早かったりします。はじめてのセッション、きっと不安もたくさんあると思いますが、あまり身構えず、気軽に参加してみてくださいね。

場所で選ぶ

インプロ・セッションは東京都に著しく偏っていますが、おおむね全国に散らばっています。近場を探してみましょう。

会場周辺のロケーションも調べるとなおたのしいですよ!ちょっとお買い物をしたり、ラーメン激戦区に立ち寄ってみたり、大きな公園を散策してみたり……駅の反対側に、まったく違う光景が広がっているかもしれません。

──インプロ・セッションが近くで開催されていない?在住の都道府県内にない?

さあ、いまこそあなたが立ち上がり、即興セッションを主催するときです。レッツトライ!

思いきって、気になるプレイヤーのライブを見に行き、頼んでみるのもよし。日本国内をツアーして回っている人もいます。あるいは近所のライブハウスなどに行ってみて、心当たりのプレイヤーはありませんか?と尋ねてみたり…… あなたのアクションが、あらたな即興の種をまくかもしれません。

会場(ハコ)で選ぶ

場所と同じようで微妙に違う要素、それが会場(ハコ)です。

セッションの会場は、ライブハウス、区や市の公共施設、野外、スタジオなどさまざまです。ライブハウスの雰囲気を体験してみたい、ちょっと広くておしゃれな場所がいいな、市民会館なら気楽な気持ちで寄れそう……など、いろんな視点で考えてみましょう。

また、おなじライブハウスでも、ハコごとにまったく趣が違います。

フリー・インプロ系のイベントを催すライブハウスは、ジャズ、プログレ、ロック、ノイズ、クラシックなどお店ごとに傾向があります。これによって、会場の機材、ホストや参加者の方の音楽的な傾向もなんとなく読めてくるかもしれません。電子音爆音で楽しみたいか、シャウトしたいか、アンビエントか、アコースティックか。ご自分の好みと相談してみましょう。

価格で選ぶ

参加料にはかなりのバラつきがあります。オーダー込みで¥3,000というところもあれば、無料で参加できるところも。ちょっと遠いな、とおもっても参加料が無料なら全然問題ないかも?よくよく吟味してみてください。

投げ銭スタイルのセッションもありますね。参加してみて楽しかったら、ぜひ投げ入れてあげてください。ホストや主催する人々の生活、そして会場の運営はあなたのワンコインで成り立っています。

飲食メニューで選ぶ

カフェやバーなど飲食店が会場の場合、飲食メニューで選ぶのも楽しいかもしれません。

会場によってドリンクのみ提供・フードメニューも提供、などさまざまです。

たとえば東京都中野「ピグノウズ」は本格インドカレーがメインメニューだったり、岐阜県岐阜市「洋食Panonnica(パノニカ)」はランチ・ディナーともにフードメニューが充実。また、HPに記載がなくても、店主とっておきのメニューやおすすめドリンクが存在する……かもしれない?

*会場の飲食物提供については、まん延防止措置等によって変更することも少なくありません。会場の告知をよくチェックしてください

ホストで選ぶ

ホストの演奏楽器はなにか?専門とする分野は?ダンサーならどんな踊り?というのも、ひとつ決め手になるかもしれませんね。

多くのホストは、Webサイトや YouTubeなどで自分のパフォーマンスを公開しています。これらを見て「この人いいなあ!」と思ったら、運命の出会いかもしれません。あこがれのプレイヤーと共演できるかもしれない──これも、セッションの魅力のひとつです。

内容で選ぶ

これは実際に行ってみないと難しい、という前提でお話しします。

フリー・インプロ/即興演奏の催しでしばしば混在しているのが、「セッション」「ワークショップ」です。これらの内容について、簡単にですが説明しておきましょう。

「セッション」はその場でプレイを楽しむこと、セッションでのプレイそのものが目的、というイメージです。どんどん次の人、次の組、と時間内はひたすらプレイし続ける傾向があります。(もちろん、例外もあります)

対して「ワークショップ」「勉強会」といった名前がつくものは、フリー・インプロ/即興を実践するイベントの一部として、セッションが組み込まれている、というイメージです。ホスト・進行をつとめる人と一緒にエクササイズをしたり、アドバイスをもらったり、参加者同士でディスカッションしながらセッションしていくことが多いようです。

たとえば、「初めてだし、ちょっとはアドバイスしてもらいながらすすめたいな」という方は、ワークショップ寄りの会が向いているかもしれません。「どんどんやって、どんどん見て吸収したい」という方は、セッションのほうが向いているかも。

ただ、中にはワークショップのようなセッションもありますし、セッションのようなワークショップもあります。いずれも「フリー・インプロ/即興をやってみたい!」という気持ちには応えてくれるはずなので、はじめのうちはあまり拘りすぎないほうがよいかもしれませんね。

一回、見学してみる

これまでいろいろと書いてみましたが、どの催しにも催しごとの個性があり、実際のところは行ってみないとわからない──というのが、正直なところです。

「そんなこといってもいきなり参加するのは不安だなあ」「ここが気になるけど、詳しい内容がよくわからないなあ」と思ったら、即興ライブを見るつもりで見学してみましょう

セッションの中には「観覧無料」と明記している会もありますし、書いていなくても、会場やホストに問い合わせてみると意外とokしてくれることがあります。

ただライブハウスなど飲食店の場合、観覧無料だったとしても、そこは飲食業をいとなむ場所、なにかしら注文する必要がある、ということは気に留めておくとよいでしょう。

最後に: あまり気張らず、気楽に、ひとへのリスペクトは忘れずに!

フリー・インプロ(即興)セッションでは、いろんな人が、いろんなスタイルで参加していると思います。ホストやオーナー、その場で出会った人との歓談を楽しむ人、マイペースにドリンクをたのしみながら参加する人、友達といっしょに来る人、ひとりで静かに楽しむ人。関わり方は人それぞれ。

会場のオーナー、スタッフ、ホスト、参加者。周囲の人や会場へのリスペクトを忘れなければ、大丈夫。

初めは不安だったり、失敗したり、あっ、浮いちゃった?と思うことも少なくありません。あまり深刻になりすぎず、ご自分のペースで、セッションという場を楽しんでみてくださいね。

また最後に、あくまでここに書いたことは筆者の経験談であり、また、フリー・インプロ(即興)セッションにおけるなんらかの形式・マナーのようなものを形成したり、訴えるものではない、ということは、明記しておきます。

それではみなさん、よいインプロ・ライフを!

よくある質問 ~フリー・インプロ(即興)セッションについて

会場の機材を使わせてもらうとき、気をつけたほうがいいことはある?
はじめての会場で慣れない機材を使ったり、借りたりする場合は、あらかじめオーナーやスタッフに使い方を確認することをおすすめします
会場設置のグランドピアノなどは、内部奏法など特殊奏法が可能かどうか確認しておきましょう。自分のものではない、という認識をあらためて持つほうがよいかもしれません。
「ミュージック・チャージ」、「ドリンク」、「オーダー」ってなに?
ライブハウスやライブカフェなどで開催されるセッションの場合、参加費として、「ミュージック・チャージ(MC, M.C. などと表記)」に加えて、飲食物の注文が必要な場合があります。
たとえば「MC ¥1,500 + 1ドリンク」とあったら、おおむね2つのパターンがあります。
1)好きなドリンクを注文する場合……カウンターでまず ¥1,500 を払い、その後任意のドリンクを注文して、それに応じた金額を支払う。
2)ドリンク料が¥500など、一定の場合……カウンターで 1ドリンク込みの金額=¥2,000 を支払い、¥500ぶんのドリンクチケットを受け取って注文する。
予約の仕方がわからないんだけど……
催しによっては、予約方法が明記していない場合があります。その場合は予約がいらないこともありますが、不安な場合は、会場またはホストWEBサイトの「お問合せフォーム」や、問い合わせ先のメールアドレスなどを探し、聞いてみましょう。
途中参加・途中退出してもいいの?
会によっては、事前に参加者同士の組み分けを考えてくれている場合もあるので、予約時などに途中参加・退出の旨を伝えておくのが安全かもしれません。
お店の人が怖かったり、常連さんが怖かったりしない?
何を持って「怖い」とするかにもよりますが、筆者がこれまで参加してきたフリー・インプロのセッションは、ホストや会場の方含め、おおらかな印象でした。でも、こればかりは「人による」としか言いようがありません……
ある場所が合わなくても、違う場所のセッションなら合うかもしれません。一度、「あんまり合わなかったなあ」と思っても、あまり深刻になりすぎず、いろんな場所を試してみましょう。
またプレイについては、基本的には“フリー”のセッションなので、こういうパフォーマンスをしちゃダメ、とか、こういうパフォーマンスは歓迎されない、とかいうことはないはずです。なんとなく参加者の傾向などはあるかもしれませんが、それはそれ、と割り切れたらきっと楽しいですね。